「私の子育て」Jくん

●●の一日は起きてきて、まず私とのギューから始まります。

「おはよー。今日も可愛いね~。大好きだよー」と言って、1日の始まりです。

●●はぱっと見、元気いっぱいの活発で、やんちゃで、甘えん坊の男の子です。

声も大きいし、動きも大きいし、ときに乱暴な言葉も出たりします。でも実はとても繊細な、

自分に自信がない子で、いろいろなことに敏感です。

新しい場所や人が苦手だったり、見通しが立たないと不安になったり、

色や勝ち負けにこだわりがあったり、

手先の不器用さがあったりします。思い通りにならないと怒ってしまうこともあります。

●●は1歳になる前からどんどん歩きだし、1歳を過ぎると大好きな兄を追ってよく走っていました。

ボールの様にいつもぴょんぴょん弾んで歩いていて可愛いなと思っていましたが、

今思えばそれも感覚の過敏さからきていたのかもしれません。

ニコニコとよく笑う顔に癒されましたが、とにかく動き回るので、追いかけたり、

じっとさせたりするのが大変でした。

赤ちゃんの頃から偏食が強く、バナナなども一切食べようとしないので、心配になって

小児科で相談したこともありましたが、そのうち食べるようになりますよ、

という感じで過ぎていきました。

2歳の時に、幼児教室に週に1度通うようになりました。遊びが中心のお教室でしたので、

楽しそうに参加していましたが、時折先生の指示が通らなかったり、

参観で私が一緒に入った日は私に甘えてばかりで、

他の子に比べて活動に参加できていないことが気になりました。

またこの頃から特定の色への執着や、癇癪なども強くなったように思います。

3歳児健診では 特に異常は指摘されなかったのですが、3歳から1年間、

発達センターに月に2回通わせて頂きました。

そしていよいよ、4歳の時に幼稚園へ入園しました。入園して1週間後から登園しぶりが始まりました。

「ぼく行かない!」とソファの裏に隠れたり、階段の上から降りてこなかったり、ということが続きました。

説得しようとすると「ママなんか嫌い!」と言うようになり、暫くは大変な日が続きました。

園服も着たくない、カバンも持ちたくない、ということで園服とカバンは私が持ち、

できるだけ楽しい話をしてみたり、気持ちを盛り上げながら幼稚園のそばまで行ってみても、

門の前で「いやだー。ママと一緒に帰る。」と私にしがみつき、門の中に入れないことがしばしばありました。

仕方なく、先生方に朝の挨拶だけして帰る、ということを繰り返しました。

私が一緒に幼稚園の中に入って、一緒に2時間くらい過ごして早退する、ということも何度かやってみました。

その後もなかなか門の中に入れず、先生方3人がかりで正門からお部屋まで連れていかれることもありました。

そんな●●を見送りながら、「これで良いのか」「あんなに嫌がっている●●を幼稚園に通わせることは

彼のためになるのか」と悩みました。

幼稚園の保育室の中に入っても他の園児たちの様に身支度をせず、集団行動をとれず、

遊んでもトラブルになってお友達に手がでてしまうこともありました。誰かに大ケガをさせてしまったら大変だと、

登園する度に私もドキドキし、私自身も胃炎になってしまいました。帰ってきてからも荒れていて、

家の中の雰囲気もあまりよくないことがありました。

あまりに登園できなかったので、インターネットで調べて、とある民間の療育に辿りつき、週に1回

お教室まで通わせていただくことになりました。そこで療育の先生に「●●くんは自己肯定感が下がってしまって

いるので、もっとほめてあげてください」というような事を言われました。確かに、幼稚園に通い始めてから、

幼稚園での問題行動を報告される度に叱ってしまったり、登園を渋っている時も無理に連れていこうとしたり、

家で癇癪を起こしても●●の気持ちに寄り添えていなかったので、その先生の言葉を受けて、とても反省しました。

私は「他の子と同じように幼稚園に行ってほしい」、「座って話を聞いてほしい」「嫌なことがあっても叩くのではなく

言葉で話してほしい」というのは当たり前の願いだと思っていたのですが、期待が高すぎると言われました。

そこから私の●●への接し方は変わってきた様に思います。危ないことをしたり、手が出た時は叱りますが、

それ以外については随分と寛大になりました。そして小さなことも沢山褒めるように心がけるようになりました。

「園服、着れたね。偉いねー」「自分で靴を履けたね。凄いねー」「幼稚園まで歩けたね。頑張ったねー」

「ありがとうと言ってくれて嬉しいよ!」

できなかったことは指摘せず、できたことを褒める。最初は難しかったけれど、心がけました。

 それでも幼稚園生活が大変で、週に1度は「やっぱり幼稚園をやめようか。でもやめてどうしよう。

自宅にこもっていても●●のソーシャルスキルは育たないし。。。」と悩み続けました。

そしてある日、ふと、以前のママ友が口にしたことのある「親子教室」を思い出し、インターネットで調べて、

電話をかけたのです。電話口に出たのはS先生でした。私が泣きそうになりながら状況をお話すると、

「週に1度来てみる?」と優しくおっしゃってくださり、いちご組に通わせていただくようになりました。

今でもあの時親子教室に電話して本当に良かったと思います。

そしていちご組にお世話になるようになって1年3か月経った今、●●も私も一緒に成長しました。

●●は幼稚園に入園当初は周りの皆に対して警戒心のかたまりだったのが、今は幼稚園でも一緒に

遊ぶお友達もでき、登園すると「●●、今日もドッヂボールしよう」と声をかけて貰ったりするようになりました。

登園しぶりもまだありますが随分減りました。

年少の夏までは幼稚園のお部屋でお弁当を食べることができず、職員室で園長先生と食べていましたが、

今は皆と一緒にお部屋で食べ、お当番もできるようになりました。

時折、お友達を思いやる言葉も口にするようになってきたと先生からご報告いただくこともあります。

1年半前から比べたらとても喜ばしいことです。

もちろん、まだまだ大変なことも沢山あります。

本来静かに先生のお話を聞いているべき時間に喋ってしまったりします。

座っていなくてはいけない時にお友達とふざけたり立ち歩いたりします。

行事があると緊張してしまい、1週間前から朝食が喉を通らなかったり、トイレに一人でいけなくなって

しまったりします。

幼稚園で避難訓練や誕生会など、普段と違うことがある日はあまり幼稚園に行きたがりません。

何とか登園しても、イベントで全ての力を使い果たしてしまい、そのあとの指示が通らなくて

壁を蹴っていたり、床に寝転がってしまったりします。

嫌なことをされた時は「やめて」と言葉で言えるようになりましたが、何度も同じことをされるとつい

叩いてしまうこともあります。

集団生活における、世間からみたいわゆる「問題行動」は簡単にはなくなりません。

それでも、彼自身すごく頑張っているのだということを理解し、受け止めることによって、私自身も

●●に優しくなれ、ますます●●のことを可愛いと思う様になりました。

育児は老体に鞭をうつ日々ではありますが、とにかく●●は可愛くて、毎日毎日「ママ大好きだよー」と

1日に20回くらい言ってくれるので、なんだかんだ やっぱり幸せだなと思います。

ここまで●●と私がやってこられたのは、家族の支えはもちろんのこと、困った時に親子教室の先生方が

迎え入れてくださり、沢山のヒントやアドバイスで支えて下さったからです。

私が幼稚園での●●の様子を心配していた時、いちご組の先生方はお忙しい中わざわざ幼稚園での

●●の様子を見に行って、園長先生とお話をしてくださいました。●●がお部屋で怒っている時も、

先生方は●●の気持ちに寄り添いつつ指導してくださいました。

また、親子教室のお母さま方も幼稚園のお母さま方もいつも温かく見守ってくださり、時には自らの体験を

聞かせてくださったりしました。

幼稚園の先生方は●●の可能性を信じて、いつも情熱を持って、様々な工夫をして●●が行事に

参加できるようにしてくださり、日々の指導をしてくださいました。

そして、他の療育機関の先生や病院の先生、教育センターの先生など、多くの方々にお世話になり、

支えられここまできました。本当に、本当に、ありがとうございました。

これからも、●●の良いところを見失わずに、●●がいっぱい笑顔になれるように、進んでいきたいです。